成年後見人~司法書士は何をしてくれる?

成年後見人の役割

頼れる成年後見人はなにをしてくれるのでしょうか。

よく司法書士が成年後見人になる話を聞きますが、それは何をしてくれる人なのか ピンとこないという方も若者の中にはいるのではないでしょうか。 一度もきいたことがない、というほど知らないわけでもないけれどどんな役割を 担っているのかは詳しくはない、そんな程度の方がほとんどでしょう。 では成年後見人の役割とは何があるのでしょうか。 判断能力が低下してしまった本人に代わり財産管理をすることが重要な業務の ひとつ、そして身上監護・療養看護がふたつ目にあります。 それをどのように行っているかを家庭裁判所に報告するのも業務になりますが、 これはあまり気付かれない3番目なので知らない人も多いでしょう。 成年後見人とはいわばお世話をする、援助をするのが役目になるのですが、ただ お世話をするだけではありません。 あくまで自己決定を尊重して、その方がどんな人生を歩んできたのかを踏まえて 適切であろう判断を下すお手伝いをしなければなりません。 ボクはこう思うからこうしましょう、ではなく本人ならどうするかを考察して、 脇役としてサポートするのが正しい役割になります。 そのためにはかすかに残されている本人の残存能力もしっかりと活用し、まるで その方の全盛期に決定したかのような錯覚をさせるほど本人らしい判断をする ことが、資産運用などを任される成年後見人には求められるでしょう。 なので判断能力が低下していたり知的障害のある被後見人よりも頭脳の回転が 早い人物でなければ務まらないポシションで、被後見人に対して誠実な姿勢を 持てることも選任される条件になります。 お達者な頃から親しかった人、親類が務めるのが理想かもしれませんが、被後見人 が高齢者だとその知り合いもやはりそれなりに年季の入ったお年頃になっており、 なかなか適任者が見つからないのが問題となります。 78歳になり認知症の兆しがあるから後見人を探そう、一番仲が良くて近所に 住んでいる親戚に頼みたいのだけれど自分より年上で病気を患っているから、 どちらかと言えば先に逝くのはあっちかもしれないな、では任せたところで最後 まで面倒を見てもらえるかはわかりません。 五分五分かそれ以上の確率で途中で務めを果たせなくなりそうですし、あちらは あちらで自分を成年後見人候補に考えているかもしれません。 そうでなくても残された候補者はきっと多くはないでしょうし、身内から選任 しようとすると「果たして本当にあの人でいいのかな、いや他に誰もいないから 消去法で残ったとはいえお願いする立場なのはこちらなんだけどさ」と不安が 残りそうな人選をしなければならないケースも多いでしょう。 ですがそんな選び方をしたら、身の回りの簡単なお世話ならまずまずの仕事を してくれるかもしれませんが、資産管理など結構重要な事はちょっと危なっかしい と心配でドキドキしてしまいます。 しょせんは素人なので手続きにも手間取るでしょうし、うっかり大切な貴金属や 掛け軸なんかをリサイクルショップや質屋に流してしまう心配もあります。 そこで最近では成年後見人のプロにお願いして安心して老後を過ごそうという 発想をする、賢いお年寄りの資産家も現れてきたようです。 運用の失敗は許されないほどの資産を抱えているとか、利権関係が複雑な資産が 多いなどの理由で専門家に任せなければトラブルが起きそうな予感がする場合、 司法書士の先生に成年後見人を依頼することが珍しくはなくなってきたのです。 これは知り合いの司法書士さんという意味ではなく、業務として成年後見人を 引き受けてくれる専門家で、他には弁護士を選ばれる方もいらっしゃります。 確実に財産管理や身上監護をしていただける、完璧に近い援助が期待できますが 専門家なので報酬が発生します。 どこまでサポートするかによって報酬額は変動しますが、20,000円~ というのが一般的でしょう。